■ J-PARC News 第162号より       (2018/10) 
●超伝導検出器を使った全固体ワンチップの中性子高速イメージング装置を開発 (10月23日、プレス発表) 
  大阪府立大学の宍戸寛明准教授、J-PARCセンターで元ミュオンセクションの小嶋健児氏 (現 カナダTRIUMF研究員) 、中性子利用セクションの原田正英研究主幹 (JAEA) 、共通技術開発セクションの奥隆之マネージャー (JAEA) らの研究グループは、既存の中性子検出器と動作原理が全く異 なる全固体超伝導検出器を用いた中性子高速イメージング装置を開発しました。装置には、小嶋氏らが開発したKalliope回路を改造した時間デジタル変換器を用いました。今回、物質・生命科学実験施設 (MLF) のBL10を使った中性子イメージング実証実験で、空間分解能22μm (マイクロメーター) という画期的に高い分解能を達成したことを確認しました。この成果は、より高精度な非破壊検査に役立つ可能性が期待されます 。本研究は、科研費基礎研究A (研究代表者 同大学 石田武和 客員教授) の支援を得て実施されました。
  詳細はJ-PARCホームページをご覧ください。http://j-parc.jp/ja/topics/2018/press181023.html
  
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●J-PARCハローサイエンス、素粒子ミューオン研究の最前線
- ピラミッドの秘密から宇宙の謎まで - (9月28日、東海村産業・情報プラザ「アイヴィル」) 
  9月のサイエンスカフェでは、J-PARCセンター加速器第7セクション (KEK) の大谷将士助教が、"素粒子ミューオン研究の最前線"と題して講演しました。物質を透過する能力が高く、地上に降り注ぐ宇宙線ミューオンの観測からピラミッド内部に未知の巨大空間が発見されたこと、J-PARCで人工的に作り出しているミューオンを大谷助教らの研究グループが世界で初めて加速に成功したこと、今後、加速したミューオンを用いて異常磁気能率 (g-2) を極めて高い精度で測定する実験などについて語りました。g-2実験により、ダークマターなどの宇宙の謎が解き明かされると期待されています。今回は、新たな参加者も多数見受けられました。
  ※磁気能率とはミューオンが持つ磁石の性質の強さ、また、異常とはディラック方程式による計算値2からのズレをそう表現しており、現在分かっている"宇宙のすべてを支配する方程式"による効果に加えて、ダークマターなどの痕跡が残っていると考えられています。

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●第6回パルス中性子イメージング研究会開催 (10月10日、東京・エッサム神田ホール) 
  MLFに建設された世界初のパルス中性子イメージング装置「螺鈿 (らでん) 」は、平成27年に共同利用を開始してから、国内外の大学や研究機関だけでなく、国内企業の研究者に広く利用されています。また、共同利用だけでなく、エネルギー分析型イメージング法の高度化や、位相情報を利用した新しい利用技術の開発等も進めています。今回、6回目を迎える研究会ではパルス中性子を用いたイメージング技術開発・応用研究の現状を広く紹介し、ユーザー利用の拡張や新しい研究の展開が図られました。約60名が参加し、国内のイメージング施設の現状、技術開発の状況、「螺鈿」で実施された研究成果の講演、日本刀を中心にした文化財研究の現状などの紹介と、本研究の今後の展開についての議論が活発に行われました。

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●DIRECTION 2018開催 (10月11日、IQBRC) 
  10月11日、MLF中性子分光器6台による合同のユーザーミーティング「DIRECTION 2018」が、いばらき量子ビーム研究センター (IQBRC) で開催され、50名を越える参加者がありました。研究会の14件の講演では、各装置の特色や新しい実験手法を活かして行った研究成果の紹介、各装置の最新の整備状況の報告がありました。試料環境に関する要望や今後の展開等について、装置側とユーザー側の間で緊密な議論が交わされました。その後、ポスターセッションでは実験装置グループとその装置を使ったユーザーによる21件の発表があり、今後の研究や装置の高度化などについて忌憚のない意見交換が活発に行われました。

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●2018秋のいばらきよいとこプラン
- バスで巡る県央地域お薦め体験ツアー - がJ-PARCを訪問 (10月14日) 
  茨城県は、現在「2018秋のいばらきよいとこプラン」を実施しており、 10月14日 (日) の県央地域体験ツアーでは、ひたち海浜公園のコキア鑑賞、那珂湊おさかな市場での食事などとともに、大人の社会科見学と銘打ったJ-PARCセンター施設見学が組込まれました。ツアーには、県外からの参加者を含め約40名が参加。J-PARCでは、MLFとニュートリノ実験施設を見学し、研究者が中性子を使った研究、T2Kニュートリノ実験について紹介しました。参加者から「見学出来て良かった」「もう少し時間が必要」などの声が聞かれました。
  ※茨城県は、9月〜11月にかけて県内各地を巡るバスツアーを企画しています。

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●第6回大空マルシェ2018で「J-PARC科学実験コーナー」を出展 (10月21日、東海村) 
  10月21日、6回目を迎えた大空マルシェが東海村にある大神宮と村松山虚空蔵堂を会場に開催されました。今年J-PARCセンターは原子力科学研究所と合同でブースを出展、ポスターによるJ-PARCの実験施設や、製品化された低燃費タイヤ、全固体セラミックス電池開発など産業利用につながった研究成果を中心に紹介しました。また、超伝導コースター実験では液体窒素で冷やした超伝導物質の不思議な振る舞いを体験し、親子共々実験を楽しんでいました。他にもバルーンアートの配布や、ロボットアーム模型操作体験などを行い、好天にも恵まれて延べ900人を超える来場者となりました。
  ※伊勢神宮の分霊を祀る大神宮の『大』、そして日本三体虚空蔵堂の一つ村松山虚空蔵堂の『空』、から『大空マルシェ』と命名された、東海村が毎年秋に主催しているイベントです。
   
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●生け花教室 (9月20日&10月25日、原子力科学研究所・情報交流棟) 
  J-PARCセンター及び、JAEAに滞在中の海外の研究者と職員の交流を図るイベントを開催、この教室は人気が高く、各会参加者が20名を越えました。今回の生け花は、季節を感じられるりんどう、バラなどの秋の花を素材として、東海村国際交流センターの先生らの指導で、思い思いにアレンジメントを楽しみました。

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●名古屋大学J-PARC分室を設置 (10月26日、J-PARC) 
  10月26日、KEKと名古屋大学の研究拠点の構築に関する覚書の調印式※が、J-PARC研究棟で行われました。この覚書により、KEK東海1号館に名古屋大学J-PARC分室が設置され、J-PARCで研究を行う名古屋大学の研究者や学生に利用されます。名古屋大学は、すでにKEKと連携・協力を推進するための基本協定を締結しており、理学研究科、工学研究科などに所属する教職員らが、ミュオンビームを使った素粒子の磁気的性質の精密測定のための開発研究、中性子回折を用いた超伝導体などの物性研究などをJ-PARCにおいて共同で進め、同時に大学院生の教育にも当たっています。この分室設置によりJ-PARCセンターと名古屋大学はさらに緊密な研究協力関係を構築していきます。
  ※平成28年3月大阪大学、平成29年2月京都大学、平成30年3月九州大学に続くものです。

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●核融合施設見学会でJ-PARCハローサイエンス「光のまんげきょうを作ろう!」を開催
 (10月21日、那珂市・那珂核融合研究所) 
  10月21日に那珂市の量子科学技術研究開発機構 那珂核融合研究所で施設見学会が開催され、J-PARCセンターはハローサイエンス「光のまんげきょうを作ろう!」コーナーで工作・実験教室を実施しました。広報セクションの坂元眞一科学コミュニケーターが講師となり、各回8名で全7回実施の教室に、見学するお母さん方を含め約80名が参加しました。光は何色だろう、光の3原色、分光などについて説明し、その後、分光シートを使って万華鏡を工作しました。蛍光灯、電球、LED電球などの光源による見え方の違いに、親子共々楽しんでいる様子でした。
   
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●ご視察者など
 
    10月 27日  JASTJ科学ジャーナリスト塾秋の研修会参加者
   
●加速器運転計画
  11月の運転計画は、次のとおりです。なお、機器の調整状況により変更になる場合があります。

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