●JーPARC完成記念式典 |
平成21年7月6日(月)、東京九段会館にてJーPARC完成記念式典を開催した。国、地方自治体、大学、産業界、研究機関、国内外の研究者など約900名が参加(海外研究者60名程度)し、第1期建設分の施設完成を報告した。永宮JーPARCセンター長が施設建設経緯を記録映像を使って報告。続いて、塩谷文部科学大臣、
江田参議院議員など多くの来賓の方々からの挨拶と祝辞があった。ノーベル物理学賞受賞者・小林誠先生の記念講演も行われた。最後に、米国、カナダ、韓国、ロシアなど各国から著名な研究者、並びに小柴昌俊先生からJーPARCに対する大きな期待を込めたエールがあった。(詳細は、http://j-parc.jp/ja/topics/2009/ceremony-j.htmlをご覧ください)。
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●新しい超伝導の姿を発見 −ミュオン・スピン回転法−(7月9日、プレス発表) |
物質の電気抵抗がゼロとなる超伝導現象に対し、磁性は通常それを阻害する方向に働く。従って、鉄のような磁性原子を含む物質は超伝導現象が最も起きにくいものと考えられてきた。ところが昨年、鉄化合物でいわゆる「高温」超伝導現象が確認されて世界中で研究競争が起きてい
る。今回JーPARCでこの鉄化合物の1つについてミュオン・スピン回転法という物質内部のミクロな電子状態を観測する研究手法により、磁気的な性質、超伝導の性質を調べたところ、磁性物質が示す新しいタイプの超伝導状態を発見した。今後、このようなミュオン(ミュー粒子)を利用した研究が室温で超伝導状態を維持する新物質の開発につな
がることへの期待が高まる。本成果は米国科学誌『フィジカル・レビュー・レターズ』オンライン版に掲載された。(KEKと東工大の共同研究)
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●ワークショップ「JーPARCの新しい中性子分光器が開くサイエンス」開催 |
平成21年7月8〜9日、東海村「いばらき量子ビーム研究センター」にて標記ワークショップが開催された。JーPARCの物質・生命科学実験施設(MLF)に4SEASONS、AMATERAS、HRC3台の中性子非弾性散乱装置が設置され、また、今年度から新たな分光器であるDNAの建設が開始されたことを受けて、JーPARC
の中性子非弾性散乱装置によって開かれる新しいサイエンスの可能性が議論された。海外からの参加者を含め50名以上の研究者が集まり、物理から化学、材料科学、生命科学まで広い分野にわたる19件の講演が行われ、JーPARCでの研究の可能性について幅広く活発な議論が行われた。ワークショップの終わりには、JーPARCでの研
究を考えている参加者が、MLFでの共同利用の体制や試料環境、ソフトウェア等の整備状況についても紹介がなされ盛況のなか閉会となった。今回のワークショップから、JーPARCにおける基礎研究分野での分光器利用により、更に幅広い研究展開を期待されていることが確認できた。
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参考)4SEASONS :4次元空間中性子探査装置(MLF BL01)
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AMATERAS :冷中性子ディスクチョッパー型分光器(MLF BL14)
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HRC :高分解能型チョッパー分光器(MLF BL12)
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DNA :バイオ非弾性散乱装置(MLF BL02)
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●実験施設関連 |
(1)KLビームラインの整備
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ハドロン実験施設の南側実験ホールでは、電荷を持たないK中間子を利用した研究を行うKLビームラインの装置据付け、調整が進められている(今年2月にK中間子を確認したのはK1.8BR)。
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(2)ファイングレイン飛跡検出器(FGD:Fine-Grained Detector)
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ニュートリノ(ν)実験施設の実験準備棟では、モニター棟に設置を進める前置ニュートリノ検出器ND280の一部となるFGD検出器とTPC(Time Projection Chamber)の組立て、電子回路の調整等が行われている。T2K実験は、今秋から本格的に実験が開始される世界12ケ国、61機関、約400名からなる
国際共同実験で、これら検出器の準備はニュートリノカナダチームが担当している。 この2種類の検出器は軌跡検出器(Tracker)と呼ばれ、ニュートリノとの相互作用によって作られるミュー粒子、及びπ中間子の運動量を測定するもの。その内、FGDは2台、TPCは3台設置される。FGDの一方は細分化されたシンチレーター、他方は
細分化されたシンチレーターと水標的から構成され、TPCモジュールに挟まれる格好で設置される。
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●第2電磁ホーンの据付け |
ニュートリノターゲットステーションでは、大強度のニュートリノビームを295Km離れたニュートリノ検出器・スーパーカミオカンデに向けて地中を飛ばすため、グラファイト標的で生成される正電荷のπ+中間子を3台の電磁ホーン(うち1台目はグラファイト標的と一体)によってしぼり込む(フォーカス)。その先、約100mの崩壊トンネル内を飛行中にπ+中間子はミューオンとニュートリ
ノに崩壊し、ニュートリノがスーパーカミオカンデに向かって飛んでいく。今回、2台目の電磁ホーンを大型ヘリウム容器内へ据付けた。
国際共同実験のT2K実験では、第2電磁ホーンの製作はアメリカ・コロラド大学が担当し、通電性能試験は昨年KEKつくばにて実施されたものである。
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