■ J-PARC News 第35号より       (2008/2) 
●ニュートリノ超伝導電磁石の搬入
 50GeVシンクロトロンからの陽子ビームは、偏向電磁石と四極電磁石の性能を併せ持つコンバインド型の超伝導電磁石14台によって50GeVのビーム軌道から90度曲げてニュートリノ標的に導かれる。 今回、2月8日〜11日にかけて、原子力機構内のHENDEL付属棟に保管されていた電磁石6台を、ニュートリノ搬入棟から搬入しニュートリノトンネルアーク部への仮置き作業が行われた。電磁石は約10トン、床運搬では重量物運搬用のチルローラが使われた。雨天により作業中断もあったが最終日は1日に3台の搬入を済ませ搬入作業を無事終了した。

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●中性子の産業利用に関する技術セミナー「産業利用への橋渡し」(2月13日)
 文部科学省主催の中性子産業利用に関する技術セミナーが、東京台場の日本科学未来館で開催された。平成18年度から実施のJRR-3の中性子場を利用した「中性子利用技術移転推進プログラム」(通称:トライアルユース)で得られた成果の発表と、今後の量子ビームの産業利用の展望などが紹介された。 原子力機構・量子ビーム応用研究部門の森井副部門長が「中性子の利用分野、特徴」と題して講演し、また、今後のJ-PARCにおける中性子の産業利用の展望について紹介した。また、同部門の黒木中性子生命科学研究ユニット長がJRR-3の中性子ビーム実験装置バイオロジカル生体高分子を用いた中性子利用の課題実施例について報告した。

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●特集:J-PARCを利用して出来ること
< 基礎科学分野:宇宙の物質起源の謎に迫る >
 宇宙は約100億年前のビッグバンと呼ばれる大爆発で誕生し非常に高温で高密度な状態で色々な素粒子が飛び交っていた。その後、宇宙の膨張にともない温度が冷え密度が下がり様々な物質や天体が形成されたと考えられている。 これら素粒子の中で最も軽いものがニュートリノで、これにはミュー、電子、タウの3種類(世代)のニュートリノがあり、ある距離を飛んでいる間に互いのニュートリノに入れ換わるニュートリノ振動を起こすことが分かってきた。このニュートリノ振動を解明することで最も軽い素粒子であるニュートリノの世代や重さの関係が解明され、物質起源の研究が進むと考えられている。

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●施設建設状況
(1) 加速器関連
 リニアック、3GeVシンクロトロンは平成19年度最後のビーム加速調整試験RUN#14を2月12日から2月25日にかけて実施した。50GeVシンクロトロンは、入出射部のセプタム電磁石、入射キッカー電磁石の搬入据付け、ビームコリメータへのビームダクト組込み作業等を実施した。
(2) 実験施設関連
 物質・生命科学実験施設は、水銀ターゲット容器、陽子ビーム窓、ミュオン標的の遠隔着脱操作性試験などを実施、中性子ビームライン据付け関連作業を継続中。原子核素粒子実験施設は、ビームラインのユーティリティ設備の設置作業が進められた。ニュートリノ実験施設は、ターゲットステーション棟の鉄骨組上げ、ニュートリノ生成領域下流部及びモニター棟の床鉄筋の組上げ、コンクリート打設等が進められた。

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●50GeVシンクロトロン入射セプタム電磁石の搬入据付け
 3GeVシンクロトロンからの陽子ビームを50GeVシンクロトロンのビーム周回軌道に入射させるセプタム電磁石の搬入・据付けが実施された。50GeVのC1搬入棟からトンネルへ搬入。電磁石設置位置ではビーム軌道上に90度の真横から電磁石を移動できるガイドレールに載せられ所定の位置に設置された。

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●NHK教育テレビ「サイエンスZERO」が取材
 土曜日深夜に放送のNHK教育テレビ「サイエンスZERO」が2月19日にJ-PARCを取材した。リニアック、3GeVシンクロトロンは試験調整運転中のため、今回は、50GeVシンクロトロン、物質・生命科学実験施設、原子核素粒子実験施設及びニュートリノ実験施設について建設状況、装置据え付け状況を取材した。放送は3月の予定。

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