■ J-PARC News 第85号より       (2012/4) 
●平成24年度文部科学大臣表彰 (4月17日) 
  我が国の科学技術分野において顕著な功績をあげた者を対象とした科学技術賞などの文部科学大臣表彰式が、4月17日に東京文部科学省で開催された。科学技術賞は5部門あり、今回、J-PARCから2部門に4名が受賞した。
  1) 研究部門 (3名) 
      業績名:「パルス中性子による高効率ナノダイナミクス計測技術の研究」
      受賞者:新井正敏 物質・生命科学ディビジョン長、
           中村充孝 研究副主幹、中性子利用セクション
           梶本亮一 研究副主幹、中性子利用セクション
          (現在、一般財団法人 総合科学研究機構 (CROSS) 利用研究促進部 副主任研究員。
           関連記事:CROSS東海のHP「http://www.cross-tokai.jp/ja/」)
  2) 理解増進部門 (1名) 
      業績名:「市民への分かりやすい説明による最先端科学への理解増進」
      受賞者:鈴木國弘 広報セクションリーダー


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  科学技術賞は、開発部門、研究部門、科学技術振興部門、技術部門、理解増進部門の5部門に分かれ、今回は、101テーマで191名の方々が文部科学大臣表彰を受賞された。

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●パルス中性子による新しい計測技術の開発
 - 「パルス中性子による高効率ナノダイナミクス計測技術の研究」 - (大臣表彰受賞業績) 
  高温超伝導現象など、物質の機能発現機構の解明には、中性子を用いた原子やスピンのダイナミクス (動的特性) 測定を行う中性子非弾性散乱実験が重要となる。しかし、これまでは観測できる信号が微弱であるという計測上の問題から、その手法の有効性が十分に得られていなかった。そこで、パルス中性子による新しい計測技術についての研究が進められ、中性子ビームの 高強度化、長尺位置敏感型検出器による高効率計測、複数の異なる入射エネルギーの同時利用とデータ収集系の技術を実装した、J-PARCチョッパー型分光器「四季」が建設された。「四季」は各種の実験で従来の同種装置と比較して、計測効率が飛躍的に向上していることが確認され、ダイナミクスの全体像と詳細な部位を一挙に捉えることが可能になった。


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●特集:J-PARC/MLFで建設中の中性子ビームライン
  < 超高圧中性子回折装置:「PLANET」BL11 > 

  J-PARCは既存の研究施設よりも約2桁強力な中性子ビームを得ることができるため、微少な体積しかない試料でも測定が可能になる。建設中の超高圧中性子回折装置「PLANET」は、30万気圧という超高圧力で圧縮された微少な試料の測定が可能になり、地球深部と同じような高温高圧状態の環境下での鉱物やマグマなどの物性、それらへの水素結合の影響、水の構造変化などが観察できる。 またこれまで予想していなかった新しい物性が発現する可能性もあり、高圧物性科学研究に新しい展開をもたらす研究施設として期待されている。本研究は、文部科学省 科学研究費補助金 新学術領域研究として進められている。
  「PLANET」については、平成22年4月のJ-PARC News61号で紹介。装置の建設が進み、平成23年3月11日にはfirst beam ceremonyが計画されていた。当日は、高圧中性子実験に関わる研究者など19名が実験ホールで待機している最中に地震が発生した。震災後に、ビーム導管の点検や復旧作業、装置製作を進め、今年3月には高圧実験の主要機器である高圧プレス「圧姫」などの据付けを終了し、現在コミッショニングが進められている。


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●加速器運転計画
  5月の運転計画は下記の通りです。尚、運転計画は、機器の調整状況により変更が生じる場合があります。詳細は、 J-PARCホームページの「J-PARCの運転計画」 (http://j-parc.jp/ja/operation.html) でご確認願います。



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●リニアック
  リニアックでは、高周波四重極加速空洞 (RFQ) 2号機の大電力試験の準備を進めている。加速器後段部の加速器空洞の製作も継続実施。また、クライストロン電源の故障に伴う復旧作業を実施した。



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●物質・生命科学実験施設 (MLF) 
  中性子実験関連では、BL09、BL11、BL18など建設中のビームラインの整備、コミッショニングなどが行われた。また、BL19で試料の圧縮試験機などの実験環境装置の整備が進められた。ミュオン実験関連では、第1実験ホールでミュオン回転標的の連続試験運転の準備が行われ、また、第2実験ホールで実験エリア周辺の内壁にキャットウォーク、実験キャビンが設置された。Uライン実験装置の整備も進められた。


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●ハドロン実験施設
  実験ホール北側では、K1.8BR実験エリアで宇宙線による固体シンチレータ検出器の動作確認試験、検出器設置架台への取り付け作業などが進められた。K1.8実験エリアでは、今後行う予定の実験に最適なようにSKSスペクトロメータの粒子識別検出器の再調整を実施。また、ホール南側では KOTO実験装置の組立て、K1.1実験エリアで電磁石のアライメント、コンクリート遮蔽体の積み直しなどを実施した。


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●機器保管用テントハウス
  現在利用が開始され、電磁石や電力ケーブルなどが保管されている。


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●牧村俊助氏、日本中間子科学会 若手奨励賞を受賞 (3月26日) 
  J-PARCセンター・ミュオンセクションの牧村俊助氏 (高エネルギー加速器研究機構、技師) が、「大強度陽子ビームのためのミュオン生成標的の研究」の功績により、日本中間子科学会若手奨励賞を受賞した。3月26日に関西学院大学西宮上ケ原キャンパスで開催された平成23年度日本中間子科学会総会にて、表彰式と記念講演が行われた。中間子科学会は、現在約150名から構成され、「若手 奨励賞」は、ミュオン科学の発展に貢献しうる優秀な論文発表を行った若手会員2名に毎年贈られている。もう一名の若手奨励賞は、一般財団法人 総合科学研究機構 CROSS東海事業センター 利用研究促進部 大石一城 副主任研究員に贈られた。
  詳細記事は、http://imss.kek.jp/topics/120403Meson-award/index.htmlをご覧ください。


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●荻津透氏、槙田康博氏、超伝導科学技術賞を受賞 (4月17日) 
  荻津透 低温セクションリーダー (KEK教授) と槙田康博 同サブリーダー (KEK准教授) が、「ニュートリノビームライン超伝導磁石システムの開発と安定運用」の功績により、社団法人 未踏科学技術協会・超伝導科学技術賞を受賞した。授賞式は、 4月17日に東京都江戸川区のタワーホール船堀において行われた。
  詳細は、http://www.kek.jp/ja/NewsRoom/Release/20120312170000/をご覧ください。


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●春の園遊会に永宮正治J-PARCセンター長が招待 (4月19日) 
  天皇、皇后両陛下主催、「春の園遊会」が東京赤坂御苑で開かれ、科学分野の功労者として永宮正治センター長が招待された。 今年は、各界から約2000名が招かれた。


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●ご視察等
     4月 9日 中国原子能科学研究院 Changming Zhang副理事長
     4月10日 石原正泰東京大学名誉教授
     4月13日 ロシア教育科学省 Kozlov Yuri基礎科学研究部長
     4月18日 イタリア国立核物理研究所 (INFN)  F.Ferroni 所長
           (大型衝突型加速器施設財政機関会合 (FALC) 出席者) 
     4月19日 米国エネルギー省 (DOE)  LK. Lenプロジェクトマネージャー
           (日米間の高エネルギー物理に関する日米合同委員会出席者) 


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