J-PARC/物質・生命科学実験施設の高強度全散乱装置「NOVA」 (BL21) の大強度中性子線と、SPring-8の高輝度放射光X線による高圧下実験により、レアアースメタル (希土類金属) であるランタンの、岩塩 (NaCl) 構造をもつ1水素化物 (LaD) 結合の存在を、世界で初めて観測した。レアアースメタルは、次世代クリーンエネルギーの有力候補である水素ガスと親和性が極めて高く、多量にそれらを吸収して水素化物を形成することから、水素貯蔵合金として利用が可能であり、その研究開発に期待が寄せられている。
これまで、2水素化物 (LaD2) と、3水素化物 (LaD3) の結合状態の研究報告はあったが、今回の実験で、希土類金属の代表的な元素であるランタン (La) と水素原子の1水素化物 (LaD) 結合が確認された。これは、水素原子を敏感に観察できるJ-PARCの中性子線の特徴を利用して得られた成果で、これら水素化物の水素と金属の結合状態を調べて比較することで、水素と金属の相互作用の解明が更に進み、高濃度に水素を吸収する希土類合金の開発指針が得られるものと期待される。
本成果は、JAEA、KEK、J-PARCセンター、広島大学、東京大学、ケンブリッジ大学の共同研究による。また、新エネルギー・産業技術総合研究機構 (NEDO) の委託研究成果の一部である。 (5/7 プレス発表) |
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●T2Kニュートリノコラボレーションミーティング開催 |
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4月20〜25日、世界各国のT2K実験に関わる共同研究者約150人が参加して、いばらき量子ビーム研究センターなどを会場にして開催された。昨年3月11日の東日本大震災で実験施設は被害を受けたが、約1年間におよぶ施設の復旧作業を経て、T2Kニュートリノ実験を3月8日から再開した。
震災から一年の節目となる3月11日には、J-PARCからのニュートリノビームに起因するニュートリノ反応事象が、T2K実験の主測定装置であるスーパーカミオカンデによって観測された。現在、震災前までのデータから得られた電子出現の兆候をより確かなものとするため、計測統計を上げるべく、加速器グループ
との協力のもと、実験を進めている。会議では、実験が開始されて以降、4月中旬までに得られたデータ解析の最新結果と今後の予定などについて、活発な討論が行われた。 |
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●大強度陽子加速器施設評価作業部会開催 |
文部科学省科学技術・学術審議会のもとに設けられた評価作業部会では、J-PARCの共用施設としての役割や、機能に関する評価が行われている。5月8日、評価部会委員によるJ-PARC視察が行われ、各実験施設を視察しながら担当者から説明を受けた。 |
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●実験施設関連 |
(1) リニアックは、5月10日からイオン源電流を約14%上げて20mA運転を実施、ビームパワーの上昇を確認した。
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(2) 物質・生命科学実験施設 (MLF) では、革新型蓄電池研究専用装置 (BL09) を建設中。
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(3) ハドロン実験施設では、K1.8BRエリアで中性子検出器の組立を実施。
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(4) ニュートリノ実験施設では、T2K (Tokai to Kamioka) ニュートリノ実験を継続。
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●大津波を想定した避難訓練 (5月17日) |
実験施設の利用運転再開や、建設中だったビームラインの利用実験が開始されたことに伴い、J-PARCには、昨年3月の震災前よりも数多くのユーザーが、国内外から訪れている。震災以降、J-PARCでは防災対応が議論され、ソフト面及びハード面で防災対策の改善を進めてきた。津波の来襲を想定した、避難場所の変更なども検討した。
施設利用実験が再開されたのを機に、ユーザーをいち早く安全な場所へ避難誘導するための訓練を実施した。今回の訓練では、避難時間、人員掌握などの様子が確認され、より一層充実した防災対策の改善に役立てられる。 |
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●KICKOFFブラウンバッグセミナー |
標記セミナーが、JAEA (日本原子力研究開発機構) 、J-PARC、CROSS (総合科学研究機構) で働く外国人研究者などとの交流を深めることを目的に、今年1月 (隔週木曜日の昼休み) からスタートした。昼食をとりながら、文化からサイエンス (科学) まで幅広いトピックが提供されており、5月10日には、
J-PARCニュートリノ実験グループの米国コロラド大学Walter Toki教授が、現在、J-PARCと岐阜県神岡町のスーパーカミオカンデで進められている「T2Kニュートリノ実験について」分かり易く話した。 |
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●ご視察等 |
5月 8日 韓国国会議員、Youngah Park, Ph.D. |
5月 8日 大強度陽子加速器施設評価作業部会委員 (部会主査:福山秀敏 東京理科大学副学長) |
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