■ J-PARC News 第98号より       (2013/6) 
●ハドロン実験施設での放射性物質漏えい事故の概要
  ハドロン実験施設は、5月13日より50GeVシンクロトロンからの陽子ビームを金標的に照射し、標的で生成されたK中間子を利用した素粒子物理や原子核物理の実験を行っていました 。通常は2秒間かけて陽子ビームを金標的に照射するのですが、5月23日11時55分頃、50GeVシンクロトロンのビーム取出装置の誤作動により、きわめて短い時間 (200分の1秒) で陽子ビームが取り出され金標的に照射されました。その結果、標的が瞬時に高温となり、その一部が破損して放射性物質が飛散した可能性が高く、その放射性物質がハドロン実験ホール内に漏えいしました。

  このため、ハドロン実験ホール内で実験準備等を行っていた放射線業務従事者34名が被ばくしました。被ばく線量は、内部および外部被ばくを合わせて0.1から1.7 ミリシーベルトであることがわかりました。さらに、放射性物質が漏えいした状態でハドロン実験ホールの排風ファンを稼働したことにより、放射性物質を周辺環境 (管理区域外) に放出してしまいました。この放出に伴う一般環境における最大線量は、ハドロン実験施設に最も近い事業所境界で、0.29マイクロシーベルトと見積もりました。

  この事故におきまして、放射性物質を施設外及び周辺環境に漏えいさせたこと、自治体・国等の関係機関への通報連絡及び公表が遅れましたこと、ハドロン実験ホール内で作業者が放射性物質を吸入し内部被ばくしたこと、さらには加速器運転停止の遅れや排風ファン停止措置の遅れがありましたことにより、多大なご心配とご迷惑をおかけしました。皆様に心よりお詫び申し上げます。

  詳細につきましては、 (http://j-parc.jp/ja/topics/20130525press.html) をご覧ください。


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●J-PARCでの事故対応に向けた下村博文文部科学大臣からの要請 (5月28日) 
  今回の放射性物質漏えい事故の原因解明、安全管理体制及び緊急時に実施すべき手順等の確認作業、再発防止に必要な措置などへの取組みに当たり、高エネルギー加速器研究機構 (KEK) と日本原子力研究開発機構 (JAEA) は、第三者による有識者会議を設置して意見を聞きながら改善措置を行うよう指導を受けました。

  詳細につきましては、 (http://j-parc.jp/HDAccident/images/conference1-2.pdf) をご覧ください。
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●東海村で事故に係る住民説明会を開催 (6月13〜15日) 
  6月13〜15日の3日間、ハドロン実験施設の放射性物質漏えい事故について説明会を東海村で開催しました。J-PARCセンターより事故を起こしたことをお詫びし、事故の概要を説明しました。その後、皆様からのご質問に対してお答えし、ご意見を伺いました。各会場とも予定していた時間を延長し、皆さんのご発言をもれなくお聞きするようにいたしました。事故の説明や質疑の概要は、J-PARCのホームページに掲載致しました。

  詳細につきましては、
 (http://j-parc.jp/HDAccident/HDAccident-j.html) をご覧ください。

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●ハドロン実験施設の事故に係る報告書提出 (5月31日、6月18日) 
  J-PARCを運営するKEKとJAEAは、放射線障害防止法に基づき国の原子力規制委員会に、5月31日に事故報告書第一報、6月18日に同第二報を提出しました。また、原子力安全協定に基づき、事故・故障等発生報告書を茨城県、東海村などの関係自治体に提出致しました。これまでの調査で明らかになった問題点と検討結果を報告したものです。引き続き調査、検討を進め、安全管理体制、再発防止策等をまとめた最終報告書を提出します。

  詳細につきましては、
6月18日http://j-parc.jp/ja/topics/HDAccident20130618_02.pdfをご覧ください。
5月31日http://j-parc.jp/ja/topics/HDAccident20130531.pdfをご覧ください。
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●原子力規制庁の「現場立入検査」 (6月20日) 
  原子力規制庁による立入検査が実施され、J-PARC関係者に事故の全体概要を確認した後、ハドロン実験施設で事故当時の関係者と共に時系列に沿って現場確認などが行われました。
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●放射性物質漏えい事故検証に係る有識者会議 (6月21日) 
  文部科学大臣の要請に基づき、KEK及びJAEAは、6月18日、第三者による有識者会議を設置しました。J-PARCの安全管理体制及び緊急時に実施すべき手順等を再確認していただきます。幅広い分野から6名が委員に選任され、21日に第一回会議が東海村で開催されました。会議の冒頭、互選により矢野安重氏が委員長に選出されました。J-PARC関係者から事故の概要について説明を受け、続いて、加速器運転を司る中央制御室と事故のあったハドロン実験施設を詳しく視察されました。その後、今回の事故の審議に移り、事実関係の確認、今後の会議の進め方などが確認されました。

  詳細につきましては、 (http://j-parc.jp/HDAccident/HDAccident-j.html) をご覧ください。



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